福祉サービスを使いたかったけど、家族の反対が怖くて諦めた話

私は以前、ある福祉サービスを使いたいと思ったことがありました。
就労支援や医療費の軽減など、制度としては利用できる条件が揃っていたし、
実際にそれを使えば生活が少し楽になる可能性もありました。

でも、私は結局、その制度を申請しませんでした。
理由は――家族の反対が怖かったからです。

「そんなものに頼るな」という言葉

当時、親はこう言いました。
「国に頼るなんて甘えるな」
「そんな制度を使ったら、もう普通の生活には戻れないぞ」
「恥ずかしいからやめてくれ」

私自身もまだ制度に対して十分に理解があったわけではなく、
その言葉に強く反論することができませんでした。

むしろ、「親に恥をかかせるのはダメだ」と思ってしまったのです。

本当は使いたかった。
本当は、それがあればもう少し余裕があった。
でも私は、「自分の気持ち」よりも「家族にどう見られるか」を優先してしまっていました。

その結果、医療費は高いまま、仕事は見つからず、
毎日が「何とかしなきゃ」という焦りに包まれていきました。

多くの制度は、申請書類を出せば利用できます。
でも、家族の理解がないと、そもそも一歩を踏み出すのが難しい。

特に同居している場合や生活費を共有している場合、
「制度を使う＝家族の手を借りる」ことにもなるため、
反対されると簡単にあきらめてしまうことがあるのです。

福祉制度は、本来「必要な人のために」用意されたものです。
誰かの許可がなければ使えないというものではありません。

でも実際は、親や配偶者、兄弟姉妹といった身近な人からの
「それって甘えだよね」「うちはそういうの使わない主義だから」という
一言で、制度が遠ざかってしまうこともあるのです。

私は結局、そのとき制度を使いませんでした。
でも今思えば、それは家族のためでも世間の目のためでもなく、
自分のために使うべきだったと思っています。

誰かに許可を取らなくてもいい。
恥ずかしがらなくてもいい。
制度は、あなたを守るためにあるのだから。