偏見を乗り越えて制度を使えた話

制度を使うことに、なぜあんなに抵抗があったのか。
過去を振り返ると、自分のなかに「甘えたら終わり」「制度に頼るのは負け」という思い込みが、深く根を張っていたように思います。実際、制度を使うことを口にするたび、周囲の目が気になる場面が何度もありました。

制度に頼ることへの葛藤

「怠け者に見られたくない」という恐れ

病気が重くなる前は、なんでも自分でやってきました。大学にも行き、就活も一応はこなして、なんとか「普通」のフリをしていたと思います。
だからこそ、「制度に頼る＝何かを諦めた自分」みたいに感じてしまい、素直に相談することができませんでした。

偏見は、周囲だけじゃなく自分の中にもあった

実は、自分も制度を使っている人に対して、どこかで「いいな、楽してるな」と感じていたことがありました。それが後ろめたさとして自分に返ってきたのかもしれません。

転機になった出来事

本当に限界だった日

ある日、心身ともにボロボロになって病院に駆け込み、医師から「もう、制度を使ってください」と言われました。自分の状態を数字で見せられ、働けないのは気のせいじゃなかったと実感しました。
そのとき初めて、「自分の努力不足ではなく、これは支援が必要な状態なんだ」と納得できたのです。

制度を使って生きている人との出会い

障害年金や福祉サービスを使いながら、穏やかに暮らしている人たちに出会ったとき、「こういう生き方もあるんだ」と感じました。制度を使うことは、逃げではなく、ひとつの戦略だと教えてもらえた気がします。

今なら伝えたいこと

「使わないほうが偉い」は幻想

制度を使わずに頑張っている人は立派です。でも、制度を使って生き延びることも、同じくらい立派な選択肢です。どちらにも価値があります。
むしろ、無理をして限界を超えるより、ちゃんと助けを借りて、今できることに集中した方がいい。

支援を受けて、自分らしさが戻ってきた

制度を使って生活が安定し、ようやく「自分は何が好きなのか」「どうやって生きていきたいのか」を考える余裕が出てきました。
頼ったからこそ、自分を取り戻せた――それが、今の正直な感想です。