制度を使いはじめたころ、私はずっと「一人でいることが気楽」と思っていました。
でも本当は、ただ「人と関わる余裕がなかった」だけだったのかもしれません。
福祉サービスを利用し始めてから、少しずつ生活に他人が入り込んでくるようになりました。
それが思った以上に、心にあたたかさを取り戻してくれたんです。
目次
「人がいる場所」が怖くなくなった
誰にも会わずに生きていきたいと思っていた
当時は、自分の調子が悪いことを説明するのも、気を使うのも疲れるし、だったら最初から一人でいいや、と思っていました。
孤独はつらかったけれど、誰かに気を使うくらいならマシ――そんな感覚で毎日を過ごしていました。
気を使わなくてもいい「人の存在」に救われた
就労支援の場で出会ったスタッフや利用者さんたちは、あいさつをするだけの日もあれば、雑談が自然と始まる日もある。
沈黙を責められることもなく、うまく話せなくても「それでいいよ」と言ってくれる。
そういう「無理のない関わり」が、自分には必要だったんだと気づきました。
支援を受けている人どうしの共通点
どこかに“わかり合える部分”がある
他の利用者さんと話してみると、「実は自分も昔うつで」「社会に出るのが怖くて」など、それぞれの事情を抱えていました。
症状も背景もバラバラだけど、「何かしんどさを抱えながら、それでも前に進もうとしている」という共通点がある。
そのことが、安心感につながっていきました。
比べる必要がない場所だった
「もっと働いてる人もいる」「あの人の方が元気そう」――そういう比較が、ここではあまり起きません。
なぜなら、誰もが「自分のペースでいい」という空気の中にいるから。
その感覚が、自分にとってはとても大きな救いでした。
“話せる場所”があることの力
話さなくても、「いてもいい」と思える場所
体調が悪いとき、何も話さずに作業だけして帰る日もありました。
それでも、「来ただけでえらいね」と言ってもらえる。
そういう存在の仕方を許してもらえたことで、「人がいる場所」が苦手じゃなくなっていったんです。
つながりは「支え合い」でいい
別に、仲良くなる必要はない。
でも、お互いに「今つらいんだよね」「そうなんだね」くらいの共感があると、それだけで世界はやわらかくなる。
制度を使って得られた最大のものは、この「やわらかい関係」だったのかもしれません。
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