A型から一般就労にステップアップした話

就労継続支援A型での経験を経て、一般企業への就職にチャレンジする――。
これは簡単なことではありませんが、A型は「働くための準備期間」として有効に活用できる場でもあります。

今回は、A型から一般就労へ移行した実例や、ステップアップに必要な要素を紹介します。

A型事業所では雇用契約を結び、最低賃金が保障された形で働きます。
これにより、「遅刻をしない」「休まず出勤する」といった社会人としての基本を実践の中で学ぶことができます。

定期的な面談を通して、体調の波・人間関係・作業の適性などを整理できます。
ここで得られる**「自己理解」や「仕事への耐性」**が、一般就労への下地になります。

まずは週5日出勤できるように、徐々に勤務日数を増やすなどの調整を行います。
遅刻・早退・欠勤がない状態を3〜6ヶ月継続できるかが、一般企業で働く上での基準になります。

A型での業務内容も立派な実績です。
作業内容・役割・工夫したことなどを具体的に整理しておくと、書類選考や面接でも自信を持って伝えられます。

支援員が連携する一般企業に実習へ行くことで、本番環境に近い働き方を経験できます。
実習先がそのまま就職先になるケースも少なくありません。

ある30代の男性は、発達障害の診断を受け、A型でのデータ入力作業を2年間継続。
その中で、勤怠の安定、仕事の正確さ、コミュニケーションの柔軟さが評価され、支援員の紹介で中小企業の事務職に採用されました。

このように、「A型での積み上げが評価された」ことが、就職成功の鍵となったのです。

自分の苦手なことに対して、「こうすれば回避できる」「支援があればできる」という工夫や準備ができているかが重要です。

ハローワーク、障害者就業・生活支援センター（ナカポツ）、ジョブコーチなど、外部支援を併用することで成功率が上がります。

大切なのは、「自分らしい働き方」を見つけること。
A型はその土台を築くための場所であり、一般就労はあくまでその一形態です。

無理のない範囲で、できることから一歩ずつ。
たとえ時間がかかっても、A型での努力は必ずあなたの力になります。